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2010年5月16日 (日)

普天間基地問題について思うこと

沖縄の米海兵隊は日本を守るための抑止力ではない。
民主・小沢が語ったように、日本を守るためだけなら、太平洋の第七艦隊があれば十分なのだ。
鳩山首相の認識もこの程度のものだったのだろう。
それは間違ってはいない。
海兵隊は日本を守るために沖縄にいるのではない。
北朝鮮から韓国を守るため、中国から台湾を守るために、沖縄に居なければならなかったのだ。
アメリカにとっては、それも過去のモノとなりつつあるが。

現在、台湾はゆっくりと中国に取り込まれていく過程にある。
台湾を守るために沖縄に海兵隊を置くというアメリカの建前すら、
現台湾政権にとっては余計なお世話であり迷惑でしかないだろう。
韓国は前・盧武鉉政権によって対米関係を損ねてしまった。
当時の韓国世論も、北朝鮮を半植民地化して経済発展するという物語に夢を見ていた。
その夢に在韓米軍は邪魔でしかなく、激しい反米運動に繋がっていた。
そして、沖縄の海兵隊の抑止力の恩恵を受けていた東南アジアの国々も中国への依存を強めている。
日本やアメリカのために、シーレーンから中国を締め出そうなどとは思わないだろう。

沖縄の海兵隊の大部分がグアムに移転する理由は、
すでにそこに居続けることを「必要とされていない」からでしかない。
アメリカは、台湾と朝鮮半島の支配を中国に委ねようとしている。

「中国の軍拡は、戦争大好きなアメリカが恐いからだ」なんて発言をTVで耳にすることがあるが、
アメリカが中国を攻める気がないことは、実は中国が一番良く知っている。
中国の経済発展を支える最大のスポンサーは米資本だからだ。
なら、なぜ中国は軍拡を進め、海兵部隊や空母艦隊まで持とうとするのか?
答えは簡単だ。中国が、アメリカと同じ覇権国家だからである。
近現代の中国の軍事行動をふりかえれば、
それを否定する論拠などドコにもないことを知るはずである。

アフリカをはじめ世界中に持つ資源や利権を守るために、
中国には空母艦隊や陸戦海兵部隊が必要になった。
アメリカが中東で戦争を続けている理由とまったく一緒である。
米・オバマ政権が「G2体制」を明言したのは、
中国のそうした覇権行動を公式に認めたということだ。
沖縄近海を通過する中国艦隊をアメリカが問題視しなくなった理由もここにある。

中国が利権を持つアフリカ諸国はどこもかしこも政情不安であり、
時世によっては介入する国が利権を失ってしまう可能性を常に秘めている。
従順だった現地政府が中国の介入に反旗を翻したり、
部族争いに勝った勝者が利権を奪おうとすることがあった場合の中国人民解放軍の行動は、
中東における米軍の行動から読み解ける。

そういった行動はなにも特別なわけではない。
「アメリカだけがいつも戦争をしている」なんていう認識はすぐに改めたほうがいい。
偏向報道のために多くの日本人は知らないだろうが、
ロシアやフランス、イギリスや中国は、大戦後もずっと同じように行動してきたのだ。
他国に利権や資源を持つということはそういうことなのである。
それを否定する国は、日本のように他国に持っていた利権が失われるのを指をくわえて見ているしかない。

だが、ここに来て東アジアで事情が変わりつつある。
韓国軍艦艇への北朝鮮の攻撃である。
植民地化を夢見ていた北朝鮮は中国に奪われた。
すでに北朝鮮の地下資源は、アフリカ諸国の資源と同じように中国の支配下にある。
その中国が、北朝鮮の攻撃を非難する韓国を逆に非難し始めたのである。
すでにアメリカに見捨てられていることを自覚している韓国は、
朝鮮半島を含めた東アジアの新しい安全保障の形態を模索しはじめている。
http://blog.livedoor.jp/newskorea/archives/1221197.html
中国は恐い、アメリカにももう頼れない。
ここは恥を捨てて日本に頼るしかないという声が上がっても不思議ではない。
経済規模と持てる技術から言って、米中に匹敵する軍事力を持つことが可能なのは、世界に日本しか存在しないのだから。

他国の協力が不可能ならば、北朝鮮や中国から身を守るために、韓国の核兵器保有も念頭に置いておいたほうがいい。
そうなったとき、現在でも中国、ロシア、アメリカと核保有国に囲まれている日本は、さらに身近に脅威を抱えることになるだろう。

鳩山が最近になって、「海兵隊の抑止力を学んだ」と言い出したのも、民主党が大好きな韓国からの要望があったのではないかと思っている。
沖縄が日本に返還される際、沖縄に基地が残されることになった原因の1つは、実は韓国の要望にある。
沖縄の米軍基地は停戦中(戦争は今も終わっていない)の朝鮮戦争に介入するための国連平和維持軍の基地でもあるのだ。
現・李明博政権は盧武鉉が壊した米韓関係の修復を急いでいる。
その最中に北朝鮮の攻撃があったのだ。
沖縄の基地移転問題を最も恐れているのは韓国だと言っていい。
日本のマスコミが基地移転問題をことさらに騒ぎ立てるのも、韓国に気を使っているいるように思えてならない。

「沖縄に海兵隊は必要ない」と語るのは、
「朝鮮半島の平穏のために、日本は犠牲を払うべきではない」と言っているのと同義である。
果たして、それを自覚して発言している人はどれくらいいるのだろうか?
反米左翼の人たちは、大好きな韓国人たちが戦乱の恐怖に怯えることを気にしないのだろうか?
左翼な人たちの本音はこうだろう、「我々が何を叫んでも、海兵隊が沖縄から完全にいなくなるわけはないから、全部ただの建前ですよ」。
これが正しければ、基地の弊害に苦しむ沖縄の人たちにとって、もっとも失礼な態度ではないだろうか?
もし本気ならば、ぜひ韓国に行って自慢の「非武装こそが最大の抑止力」論を広めてほしい。
いまだに停戦中であり朝鮮戦争が終わっていない韓国では、鼻で笑われること必至だろうね。

日本にも、「日米安保を見直すなら、米軍に頼らない防衛力を持ち、朝鮮半島や台湾も含んだ東アジアの安定に日本が積極的に参加することで大国としての義務を負うべきだ」という意見もある。
戦後の体制を見直し、新しい日本の姿を考えるとき、最も優先されるべき議論は安全保障である。
議論の結果、日本国民が「非武装中立」を選ぶことがあるかもしれない。
それでも、なんの議論もなく、隣国のエゴに翻弄され続けるのを、何もせずこのまま指をくわえて見ているだけよりはずっといい。
日本の左翼人のように、議論を避けるくせに、米軍撤退を叫ぶのは無責任極まりない行為だ。

今、最も危険なのは、ここ数年の現状だけで安全保障や外交の問題を断定的に語ってしまうことである。
いかに隣国が友好的で自国に利益をもたらす存在であったとしてもだ。
「これからは、中国ともっと仲良くしないといけない」とTVでは知識人ぶった人々がよく言っている。
その通りではあるが、それと安全保障とは別次元の問題だ。
隣国が、未来永劫に良き隣人で居続けてくれるなんて保証はどこにもない。
ことさら中国を敵対視する必要はないが、
対等な関係で居続けたいのなら、なおさら自前で用意した抑止力を維持しつづけるべきだろう。
それが、隣国との大人の付き合い方である。
そして、日本が十分な軍事力を持つかどうかを決めるのは日本国民の民意が決めるべきであり、
米中露韓をはじめとする周辺国の内政干渉に影響を受けるべきではない。

「アメリカのポチをやめたら、中国のポチになった」なんてことだけは、どうか避けていただきたい。

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